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私は大手リクルートに入社する前は塾の先生をやっていました。生徒はもちろん、保護者と話す機会もありましたし、何より授業とは相手に伝えるもの。それをやってきたのだから、人と話すことは得意だし、営業に活かせるはずだ!、と思ったことが営業職への転職のきっかけだったと思います。
ところが「人と話すのが好き」だけで営業の可能性を見出した私は非常に痛い目に遭うのでした(笑)
体験談も交えながら、「人と話すのが好き」だけでは成り立たない理由をお話ししていきます。
そもそも営業をやり始めた時の自分の強みは?
営業職を選ぶ人の大半は「自分の性格が営業に向いているかもしれない」と思って就職します。
次の理由の中で最低1つは思うはずです。
人と話すのが好き
おそらく営業職を選ぶ理由の1番多いのがこの理由だと思います。
営業は人と話すことを主軸とした仕事であるので、確かに活かせそうです。逆に人と話すのが苦手な人には不向きな気もしますよね。
例えばアパレルからの転職、バイトで接客業の経験がある、というような人はだいたい給与面の安定としっかりした休みが欲しいという理由で営業に惹かれていきます。
割と誰とでも仲良くなれる
だいたいこれも①と合わせて思う人は多い理由です。
「自分は初対面でも誰とでも話ができるし、会話を続けることができるから、営業に向いているかもしれない」と思いがちです。
私も思っていたクチなので、非常に共感できます。
少し変わった特技がある
私の場合、絵を描くことが好きで、漫画のキャラクターや簡単な似顔絵などが描けたため、営業としても相手に覚えてもらえる可能性が高いと思っていました。私の場合、求人広告会社への就職だったので、単純に原稿づくりに活かせるのではないかと安易に思っていました。
この程度で始めた私にはこのあと暗黒時代が訪れます。
「営業ってこんなにつらいの…?もしかして自分、向いてない?」と思うとき
だいたいこの程度の性格では痛い目を見ることになります。上の①と②に該当する人はたいがい優しい人なんです。(私が優しい人間だという意味ではありません笑)
すると、数々の壁があることに気づきます。
優しすぎて、強く売れない
人と話すのは得意だけど、営利目的で話して誘導していくことに初めは戸惑います。詐欺のような感覚になってしまう場合もあります。
特にまだ自分が売っている商品知識が浅く、「本当にコレは人の為になるのか?」などと考えてしまう社歴が浅い段階では、なおさら強く人に勧める力が乏しくなり、
「売れない」➡︎「怒られる」➡︎「なんとかしたい」➡︎「でも売れない」➡︎「また怒られる」
という負のループが訪れます。
電話掛けをすることに気が引ける
私はB to Bといわれる、いわゆる対企業向けの営業だったのですが、相手への電話掛けはなかなか勇気がいるものでした。
営業の新人時代、電話をかける前に必ず次のことを考えました。
- 今、忙しくないだろうか。
- 人事担当(店長)はいるだろうか。
- さっき「忙しいから!」と切られた。次も同じかもしれない。
かければかけるほど、相手に迷惑かもしれないと思うようになり、手が止まってしまっていました。
電話では門前払い、でも上からはやれやれと言われる。この繰り返しで、メンタルがやられていきます。この期間が何週間かたつと
「そうまでして売りたくない。辞めたい。」
そう思ってしまうのです。
人と話すスキルと営業スキルは全く別物になります。そこには大きく3つの勘違いがあるのです。
人と話すこと=営業向きとは限らないたった2つの理由
本題まで長くなりました。では、人と話すことに慣れていても埋められない2つの穴を説明します。
楽しく会話するスキルではなく、ゴールまで誘導する会話スキルが求められる
接客業の、例えばレジでのやり取りをする場面で必要なのは、その場一瞬を乗り切る会話スキルです。
営業は違います。この商品はあなたにとって必ず価値があるから買ってほしい、いや、買うべきなんだと思わせる、こちらの筋書き通りに会話を運ぶことが狙いです。
その場で思いついたように話をするのではなく、こちらでゴールと話のシナリオを立てて話す必要があるのです。
ひとりに話すというより、街中で大声で100人に話しかけるようなメンタルが必要
営業で話す場面は1:1や多くても1:3くらいなのに、なぜメンタルが必要なのか。新人が飛び込み営業だったり、電話掛け100件だったり、そのやりたくない行動からやらされることの意味はここにあります。
これは単純に人間としての攻撃力だと思っています。結局のところ、人が良いだけでは数字は作れず、どこかに貪欲さ、したたかさ、野望、ずる賢さがないと、数字を作れないのです。仲間の営業より売るためには、相手より行動すれば良い、そのためには自分を奮起させ、そして思うだけではなく実行する精神力が必要なのです。営業で必要不可欠なスキルで、ただの会話好きなお人好しには無理な芸当なのです。
まとめ
人と話すのが好きならやっぱり接客業をお勧めします。
営業をやってみたいと思うなら、それなりの覚悟が必要なのです。
休みが整っていて、給与もそれなりに良いのであれば、それ相応のスキルが必要になるということですね!